すごく観たい近作の一つである中国映画『単騎、千里を走る』が近々日本公開になることもあり、先日、主演の高倉健の『旅の途中で』(2006、新潮文庫)を読んでいましたら、所収された、「健さん」と、「二回つまり、二千日回峰行を成し遂げられた」比叡山飯室不動堂・大阿闍梨の酒井雄哉師との対談中に、「盲導犬の系統」にある「クロ」との「絆」の話をとおして「親子の絆とか」について酒井大阿闍梨が語っておられているところがありました。 以下、長めの引用になりますが、紹介させて頂きたいと思います。 酒井「・・・(略)・・・ 今、絆っていう言葉がなくなっていきそうでしょ。 親子の絆とかね。その絆を犬が教えてくれてる。 僕から言わせると、犬でさえ、 自分を育ててくれ、食わせてくれる人に対しては、 忠実に慕ってついて来る。 ある日、山を歩いている時に野犬に襲われたんです。 野犬いうても、ここら辺の野犬いうたらもう、 牙が尖ってしもうて狼の親戚みたいになってる。 それが四匹ぐらいでたむろしてるんやね。 最初に、いちばん強い奴が真正面からぶつかってくる。 次の奴が背中に咬みつく。 次の奴が後ろ足に。次が前足に。 要するに全部咬みついてね。 相当大きな犬でも殺されてしまうんですよ。 そんな時でも、クロは盲導犬の系統を持っていたから、 おとなしくてなかなか鳴かない。 咬まれても人の顔見て、 その目を見るとわかるんですけど、 『おやっさん、ここからはよ行ってください。 自分はもうここで殺されてもいいから、逃れてください』 という目つきなんですよ」(P.218-219)
by aiden301
| 2006-01-12 02:17
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